- 家族構成:5人家族
- 構造:木造軸組工法、地上2階建て
- 敷地面積:204.48m²(61.96坪)
- 延べ床面積:170.18m²(51.57坪)
- 設計:杉浦英一


建築コーディネート:OZONE家づくりサポート 写真:井上茂
「念願の家づくり、やっぱり中庭がほしい!」……この気持ちに、うんうんとうなずく方も多いのではないでしょうか。昔から日本では、建物のなかに風を通したり、日差しを遮ったりするために、庭は住まいの重要な役割を果たしてきました。現代でも、つくるからには庭にも住まいの一部として活躍してほしいという想いが、「中庭」を希望される理由なのだと思います。
今回はそんな中庭を、親子2世帯の行き交う場として上手に取り入れた、Aさん・Yさんのお宅をご紹介いたします。

賃貸マンションに住んでいた娘さんご夫婦(Aさん)は、マンションが手狭になったことや、親の心配もあり、生まれ育った築37年の古い家を、お母様との二世帯住居に建て替えることに。
東西に伸びる62坪の長方形の敷地を上手に活用し、中央に中庭、通りに面した東側を親世帯、奥まった西側を子世帯としました。両世帯ともほぼ正方形の双子の建物で、互いを行き来できる廊下のサイドに、浴室・洗面室など共有の水回りが配置されています。この中庭をはさむ配置により、親子はつかず離れず、理想の距離感を実現しました。中庭に面した1階部分は親子世帯ともリビングダイニングで、二面に掃き出し窓を設えた開放的な空間。いつでもお互いの様子をうかがえるので、家族みんなが気楽に行き来できます。また、中庭にはデッキが敷かれているので、天気のいい日はお互い窓を開け放して、庭を含めた1階全体を大きなリビングのように使うことが可能に。「母の家との距離感もほどほどですし、子供たちは両方の家をぐるぐるまわって遊んでいるんですよ」とAさん。

Yさんのリビングは、中庭に向けて2面の開口が設けられています。元の家の面影を残して、周りは濡れ縁風に。さらにドングリやエゴノキ、シロヤマブキ、ヒュウガミズキ、ツツジなど山の木を選び、四季の変化を楽しめるようにしました。「大きな窓から見える雲と、木々をわたる風から、エネルギーをもらっています。ここから雲や木々を見ているだけで、気持ちが優しくなるんです。」とお母様。日常的に使う空間から、ほっとできる景色を眺められるようにすることで、日々の生活が豊かになりますね。

ミニマムな空間にしたかったAさん世帯は、吹き抜けのあるリビングを中心に家族が一体になれる、大きなワンルームの構成にしました。また、吹き抜けをガラス張りとしたことで、床に寝そべっても鮮やかな緑が視界に入り、まるで、木漏れ日の庭でくつろいでいるかのような空間に。さらに、ガス温水床暖房が入っているので、大きな窓があっても温かく快適に過ごせます。開放感がある反面、気になるのはプライバシーですが、障子を閉めることで、プライバシーもしっかり守れます。

お料理が得意なAさんご夫婦は、1階にガスを使ったオリジナルキッチンを設置。ご夫婦が並んでも十分な広さをとることで、娘さんも加わり、みんなでお料理を楽しめるようになりました。さらに、勝手口代わりのガラス戸の向こうには緑を植え、自然を感じながら料理を楽しめるキッチンを実現。外の景色の取り入れ方が、本当にお上手ですね。
普通の住まいでは間仕切りの壁をなくさない限り、ほかの部屋にいる家族の気配は聞こえてくる音を通してでしか感じられません。それが、視覚的にも可能になるのが、中庭の特徴のひとつです。今回ご紹介したお宅以外にも、中庭を通して子世帯の家族が帰ってきたり、家に「居る」ことがわかって、ご両親がとても安心して眠れるようになったと聞いたことがあります。みなさんも家族の気配が感じられる工夫をしてみてくださいね。
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